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人事異動

   
このセンターでゼロから教わったの。
  
  
電話の出方も、窓口業務も、朱肉とシャチハタの使い分けも、コピー機でFAXできることも、郵便の送り状の書き方も、用語も、交換便も、出勤の仕方も、起案も、契約も、検品も、支払いも、予算管理も、施設管理の心得も。  
  
 
   

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おばさんへ

あの日、私がお手洗いに入っていたのに、
レンタサイクルの管理人のおばさんに、電気を消されてしまいました。

窓もないトイレだったので、真っ暗になってしまいました。

私、お客さんだったのに・・・。

私がいることに、気づかなかったのでしょうか?
それとも、電気を消すのが習慣になっていたのでしょうか?

妙に悲しくなりました。

お客に全く気がつかないそんなタフなおばさんなんだから、
きっと大丈夫!

「また来て下さいね」と言ってくれたのだから、
きっと大丈夫!

また行きますから。必ず行きますから。

だから、そのときは、「あのときは大変だったのよ~」って笑ってください。

生きてた

大学で同じサークルだった人が、生きてた。

三陸の津波を生き延びてくれた。

メールを見た途端、やっと私も生きてる気がした。

一週間、長かったよ。

貞山運河

地震の後、東京にいる娘と連絡がつかない。
月曜日、何とか繋がった電話を娘の職場にかけると、
出勤していないと言う。

「そういえば、広瀬さんは週末に仙台に行くと言っていました。」
職場の一人が答える。

ありえたけれど、起きなかった。
だからこうして生きている。

たまたま2週間前に地震が起きなかったから。
たまたま仙台に遊びに行くのを前倒しにしたから。

あの日、私は広い砂浜と透き通った海にはしゃぎ、
松林をくぐって貞山運河にてサイクリングした。

あの日みた風景
貝殻がたくさん落ちている白い砂浜。ちょっとだけ空き缶や花火も落ちている。
夏の海の家のためにか、空っぽの砂浜にも電信柱があった。
テトラポットの合間を抜ける波が複雑に打ち寄せる。
少々荒々しくも、心休まる波の音。予想以上に上ってくる波が楽しい。
あっという間に砂に埋もれる足跡。
後ろ向きに歩いて、足跡が突然消えるトリックを作ったり。風が強い。寒さで耳が痛い。

しんと静まり返った松林。運河には鳥が休憩している。誰かが木に引っ掛けたオレンジ色のルアー。水面に映った青い空。
運河が庭のように家の脇にあり、マイカーのように小船がある。たぶん神事のための竹が飾ってある。

まっすぐに伸びた七北田川。
背の高い枯れ草の影にひっそりと住む人の気配。

広々とした田んぼ。食の王国。穏やかな泥の匂い。
農道をトラックが走る。学生も自転車をこいでいる。海と平行して、遠くに一本道路が走る。田んぼの近くで、別のサイクリングを楽しむ人がお弁当を食べている。

老人ホーム、小学校、バス路線沿線の住宅地、歩道をあるくのもちょっと怖いほどのスピードで走り抜ける車。

木の床に、大きな窓ガラスに、心地よい陽だまりがあるレンタサイクル場。
音楽が流れている-「Be As One」。
貞山運河の歴史や、近くの公園のイベント様子の写真、航空写真、新聞・・・そんなプレートが飾ってある。歴史ある貞山運河。

散歩する人、凧揚げする親子、遊具で遊ぶ子供、休憩している運転手さん、乗馬を楽しむ人、野球をする少年野球のチーム、「また来てくださいね」と言ってくれたレンタサイクルの管理人さん。

あの日みた風景。
あの日みた穏やかな風景が、今は突き刺さる。

今日のこと、この先のこと

不満があるわけではない。
ただ不安がある。

もうすぐ年度末だ。
納期に間に合わない。

片道2時間半の通勤。
体はもつだろうか?

帰りにスーパーに行くと、
パンはなく、米もなく、スパッゲティもない。
水もなく、お茶もなく、牛乳もない。
納豆も豆腐もない。

被災地を思うと、自分の悩みの小ささに飽きれる。
家族だって無事だ。
でも、辛いものは辛い。不安なものは不安だ。
こんな自分が浅ましい。

唯一、良い事がある。
今年の夜桜は、計画停電や節電で、きっと静かになるだろう。
わずかな街灯に照らされて、きっと懐かしい故郷の雪景色に見えるだろう。

今更だけれど、なぜ恋するんだろう。

今更過ぎて、4年以上の付き合ってる彼に申し訳ないけれど
なぜ、好きになったんだろう。

どこが好きかは分かるけれど、どうして好きになったんだろう。

好きだから、恋するの?
一人でいるより、ずっといい。だから恋するの?
てか、恋って何なんだろう?

どきどきが減って、穏やかな気持ちになっても、まだ恋なの?

なんて、今更の思春期。

にくい

毛嫌いしている人の良いところを見つけると、
なんとなく、憎く思えることがある。

それが続くと、「憎い」と言いつつ、尊敬とか感服を感じてくる。
いつの間にか、「憎い」が褒め言葉になる。

全く、遠藤周作は、私にとってそんな奴だ。

母なるもの (新潮文庫) 母なるもの (新潮文庫)

著者:遠藤 周作
販売元:新潮社

全く、偉大な作家に「憎い」なんて、私も不遜な奴だな。

屋形船

今夜(10日夜)は同期会。初任者研修のクラスの半分以上が集まった。

職場の上司たちも好きだけれど、やっぱり同期の集まりはいい。
気楽で、気さくで、悩みも共通。


でも、男はいくつになっても子供なのね。
カラオケにノリノリの男たちを見てそう思った。


「男はすぐに童心に戻れる。その瞬間ばかり見ているから、ただの子供に見えるだけ」
なんていう人はいるけれど、うーん、どうなんだろう。
    
      

追憶

   
祖母は、あの時知っていたのだろうか?
それとも、ただ涙もろくなっていただけだろうか?
あの日、最後に会ったあの日、帰り際に涙ぐんでいた。
これがお別れだと、感じていたのだろうか?

そんな気配がして、でもそれを認めたくなくて、振り返らなかった。
いつもと違う別れ方をしたら、それが現実になってしまう気がして、
「また来るから」と別れてしまった。


祖母との思い出は、あまり多くない。
少し恐くて、甘えた記憶はほとんどない。
でも、古い写真を見てみると、祖母は孫を好きだったんだなと分かる。

私も、今更だけれど、祖母が好きだったんだと分かる。
祖母の強さを、心の支えにしていたんだと分かる。
 
 
毎年欠かさず、お年玉も誕生日祝いをくれて、
悪い夢を見たと電話をくれることもあって、
なのに、
返せたものは何もない。

初給料でスカーフを贈れたことだけ、間に合ったことだけが唯一心の救い。
でも、それもたった1回、試しに肩にかけただけだ。
  
  
火葬のとき、祖母に持たせてあげたいものが、みんなあっただろうけれど、
全てを入れられるわけではない。今は棺に物を入れてはいけないそうだ。
スカーフを持たせてあげることができたのだから、
いつまでも、周りに気をつかわせるわけにはいかないだろう。
 
  
もうすぐ49日。

群生相

          
「どんなに緑色のバッタも黒くなる。バッタは翅が伸びて、遠くへ逃げられるが、人間はできない。ただ、凶暴になるだけだ」
(伊坂幸太郎 『グラスホッパー』 角川文庫P160)

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著者:伊坂 幸太郎
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朝の混雑した駅で人とぶつかったり、進路をふさがれたりすると
イラっとする。


「人とぶつかっただけで喧嘩を吹っかけるなんて、どういう神経しているんだろう?」
なんてドラマでヤンキーを見ていながら思っていたけれど、
悲しいかな、最近は怒りたい気持ちのほうがよく分かる。


「闘争心は生存本能だ!」と言い訳しつつも、
腹立たしさと悲しさは変わらない。


私、日常生活ではそんなに悪人ではないんだけれどな。
たぶん、今日私の足を踏みつけて、無視して素通りしていったオジサンも、
別のところでは、よい父親だったり、よい上司だったりするんだろうな。


世の中が害意に満ち溢れているとは思わないけれど、
小さな悪意でいっぱいだ。

悪意・・・(日常用語)相手のよくない結果を望む心。
     (法律用語)ある事実について知っていること。
    
               

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